研究者と伝道師による、
富山えごま対談!!
花粉症や生活習慣病にいいとされる
富山えごまの健康パワーをもっと知ってもらうために。
えごまの栽培から収穫を経験し、さらに2021年末には収穫した実を「えごまオイル」に加工し、商品化を実現したパークマンサーさん。今回はパークさんが富山えごま伝道師として、えごまの効果・効能を研究する富山大学・渡辺志朗准教授から学ぶ特別対談を企画。
パークさんが渡辺先生にグイグイ質問をすれば、先生がユーモアを交えながら返答。笑いに満ちた明るく楽しい雰囲気の中、えごまとの出会いから、えごまの健康パワー、おすすめの食べ方、それぞれの野望や展望まで、自由に語り合っていただきました。
激レア(?)な富山えごま伝道師の名刺
えごまが結ぶ、
はじめまして
パーク
軟式globeラップ担当パークマンサーです。知ってる?。
渡辺
パークさんのことは、富山市のえごまのお仕事をされ始めた頃から、ずいぶん拝見しています。小6の娘がファンで、「今日会えるんだ」と言ったら、「一緒に行く」と言って(笑)。
パーク
この後、家いくね。
渡辺
私は、渡辺志朗と申します。出身は愛知県です。大学院を出た後も名古屋にいましたが、縁あって富山に来て、今は富山大学で研究をしています。もう20年を超えましたね。今日は会えて光栄です。よろしくお願いいたします。
パーク
シクヨロ~!
そんじゃ、ここからは最近覚えた敬語を使いながら進めていきますね。(笑)
オイラは、富山えごま伝道師として、約2年経ちました。富山で農業をはじめて、えごまの栽培をさせていただき、今年度はえごま油の製品化にも取り組みました。えごまをPRしていくにあたって、高い栄養価がポイントになるなと。ただ、学術的なカタカナ言葉が全然覚えられないので、先生にえごまのポイントを分かりやすく教えていただければと思っています。
渡辺
えごま栽培は、手作業ですか?
パーク
手作業です。面積は、1反弱くらいですね。
昨年の収穫は10人ぐらい参加者を募ってイベントにしました。それがなかったら、めっちゃ大変でしたね。
渡辺
私もえごまを作ってみたことがあって、よく乾燥させずに実を食料保存袋に入れておいたら、カビが生えて。1年かけて育てたのに・・(笑)。
えごまと出会い、
人の輪が広がる
パーク
オイラがえごまと出会ったのは、農業の師匠から勧められたのが始まりです。なので、伝道師になる前から作っているんですよ。先生が、えごまの研究を始められたきっかけは何だったのですか?
渡辺
今から30年ほど前の大学院の時の話ですが、私も、大学院の指導教員から勧められたのがきっかけなんですよ。ひたすらえごま油をネズミに食べさせて、どうなるかというのを調べていました。当時はまだえごま油という名前ではなく、しそ油と呼ばれていましたね。卒業後はしばらく名古屋の大学で職員をしながら研究をしていましたが、富山に来たときにはえごま研究することはもうないと思っていました。
パーク
やり尽くしたから?
渡辺
富山大学は、和漢薬を研究するところだったからです。でも、当時の富山市長がえごまの特産化を進められていて。それで、私、何を思ったか、いきなり富山市役所に電話をして、「私がえごまの専門家です」と言ったら、数日後に当時の担当の方が来られたんですね。「私が研究の方面でサポートさせていただけませんか」と言ったら、快く受け入れていただいて、勉強会に誘っていただきました。一番の大イベントは、えごまの海外進出に向けた展開としてイタリアに同行したことですね。
パーク
えっ、イタリアに?
渡辺
イタリアの大学との共同研究やえごまのアピールをする役目として行きましたが、夢のような旅行でした。そして、研究を再度始めたんです。富山市の方々に相手をしていただいて、10年ほどになりますね。
パーク
富山えごまの歴史を作ってきた方じゃないですか。しかも、自分から売り込まれて(笑)。
渡辺
チャンスだと思ったんでしょうね(笑)。一番良かったのは、民間の企業の方と接する機会ができたこと。お話を聞いても非常に楽しくて、いい経験をさせていただいています。私にとっては、社会とのつながりができたと言いますか。えごまは、私にとっての潤滑油。まさに油ですね。
パーク
えごまにはそんな効果もあるんですね(笑)。ぜひ、毎月対談をしましょう。
オメガ6脂肪酸の代わりに、
オメガ3脂肪酸を
パーク
先生、えごまの魅力は何でしょう?
渡辺
私は、基本的にアレルギーや生活習慣病にまつわる研究をしてきました。私自身は専門ではありませんが、えごま油のなかにある、オメガ3脂肪酸という成分をたくさん摂取している人の方が認知症になりにくいと言われています。
オメガ3脂肪酸がこんなに多く入っているのは、アマニ油とともにえごま油が筆頭です。
パーク
最近では、花粉症にも効くんじゃないかと言われていますよね。
渡辺
花粉症のことをアレルギーや炎症という言い方をしますが、どちらも同じ部類の病気です。スギの多さがその原因と言われる方もいますが、私の研究ではサラダ油やキャノーラ油等のオメガ6脂肪酸を含む油が問題と考えています。食文化の欧米化で増えてきたその油をたくさん食べることで、花粉症や生活習慣病、認知症への危険度が増すという考えが根底にありまして。
パーク
アレルギーの人が摂るといいのですか? それとも予防にいいのですか?
渡辺
予防ですね。ただ、オメガ6脂肪酸を含む油を摂らないことが大切。私たちは普段の暮らしで、その油を1日数十グラム食べています。脂っこい食事が好きな方は、その2〜3倍も食べているので、量をできるだけ減らして、代わりにオメガ3脂肪酸を取り入れたら良いんです。魚の油も同じ種類なので、魚でもいいのですが、調理の大変さや特有の臭みなどで苦手とされている方が結構いらっしゃるので、そういう方にもえごま油はおすすめです。
炊き込みご飯からトーストまで、
えごまの食べ方いろいろ
パーク
渡辺先生は、普段からえごま油を取り入れていますか?
渡辺
天ぷらに使ったことがありましたが、強く火をあてると匂いが立ちやすいので、天ぷらには向かないですね。高価なものなので、取り出した量を全部食べられるような料理法かつ火にかけない方法で利用にしないともったいないです。
パーク
熱をかけると、栄養素がなくなっちゃうんですかね?
渡辺
それは大丈夫ですが、匂いが強くなることがありますので。ただ、今は精製の状態が良くなり、無臭に近いえごま油が作られるようになりました。ですので、多少でしたら火にかけても良いと思います。具体的な料理法でいうと、炒めた食材の上にかけたり、食べる直前にかけるのがいいと思いますね。
パーク
一番おすすめのえごまの取り入れ方は、何ですか?
渡辺
やっぱり、ご飯ですね。実を一生懸命擦って粒を完全になくして、ご飯と一緒に炊きます。いわゆる炊き込みご飯で、飛騨の方では「えめし」と言うんですよ。炊き上がってくると、部屋中がえごまの香りになって子どもが大喜び。これが一番ですかね。あとは、油をトーストに塗る食べ方も。マーガリンをえごま油に変えられたらいいと思います。
パーク
えごマーガリンですね。
渡辺
そうです(笑)。トーストには、えごま油にプラスしてジャムを塗ってもいいかもしれませんね。そういえばえごまのマヨネーズは、たまに売っていますが、自分で作ってみてもいいのではないでしょうか。
パークさんは、普段どんなふうに食べられていますか?
パーク
えごマヨネーズ!いいですね。
オイラは、えごま油だとパスタやカルパッチョ風にしてかけて食べたり。
渡辺
贅沢な食べ方ですね。
パーク
自分で作っているのと伝道師のお仕事でいただけるので油は1年分ぐらいあるんですよ。葉っぱは、畑からとってきて食べています。
えごま油が、
富山の暮らしに浸透
渡辺
4〜5年くらい前から、スーパーに行くと普通にえごま油があります。かつては、油の会社がえごま油の製品化・販売をしていなかったので、この光景は予想しなかったですね。今もスーパーに行くと、1回は確認します。
パーク
今は、えごまがすごく身近になってきましたよね。
渡辺
ここ5〜10年ぐらい、メディアで取り扱われることが多かったですね。研究は、やり尽くされたところがあるので、あとは啓発活動が重要です。いろいろな年代の方に分かりやすく話をして、えごまが使いやすくなり、需要が増えれば、生産もそれに対応して価格的に安いものも生まれてくるでしょう。「富山で作ったものを食べたい」という声が挙がってくれば、地産地消としてえごまが盛り上がっていくのではないかと思いますね。
特有のエグみが
可能性の鍵を握る
渡辺
えごまの葉は、ちょっとエグいんですよね。けど、我慢して食べていたら、大好きになりました。
パーク
ですよね。オイラも初めて食べた時、なんだこれはと思いましたが、ハマるんですよ。オイラは今、スプラウトが、一番可能性が高いと思っていて。エグみが少なく、露地栽培でも2週間ほどで育ちます。ブロッコリースーパースプラウトのポジションを狙えるんじゃないかなと思うんですよね。
渡辺
スプラウトは、一度だけいただきましたが、ユニークな味でとてもいいですね。
パーク
露地栽培したえごまの葉を初めて食べた時は、歯磨き粉かと思いましたが、食べるうちに水耕栽培のものでは物足りなくなって。エグみがないと嫌になったんですね。パクチーも流行ったらみんな食べるようになったじゃないですか。「トムヤムクンにはパクチー」といわれるように、えごまにぴったり合う料理を作ると、流行るかもしれません。
渡辺
スプラウトを肉で巻くというのはどうでしょう。油があれば、口の中が爽やかになります。
パーク
富山っぽくするなら、肉の代わりにブリはどうでしょう?
渡辺
ブリなら、かぶらずしにえごまを入れるといいのかもしれません。これ、商品化したら、アイデアを出したことになりますね(笑)。
パーク
畑でかぶら作りますか(笑)。
渡辺
あとはブリを釣りに行けば、富山の特産のコンビネーションですね。
研究者として、伝道師として
これからの野望・展望
渡辺
パークさん、伝道師としての野望はありますか?
パーク
去年は草刈りが大変だったので、今年は畑にマルチを張って上品に育てようと(笑)。あとは、スプラウトをハウス栽培すれば、通年出荷できるので、なんとか流行らせたいです。
渡辺
その他の農作業については?
パーク
これから米、スイカ、ニンニクを中心に、えごまと鷹の爪を育てていきます。売り方も変えて、オンラインの八百屋「八〇九」(まちまるく)で販売していこうと。また、軽トラに積んで全国各地で売り歩くためのリアカーも作っています。あとは、キッチンカーで、近くのフードフェスに顔を出していこうかなとも思っています。
渡辺
ますます期待しています。
パーク
先生は、啓蒙活動に力を?
渡辺
そうですね。えごまがまだまだ浸透していないので、市民向けの講座で一般の方々にお話をしていきたいです。講義の後に受講者の方々から「富山市の事業について知りたい」とよく言われるので、これからも富山市さんの事業に協力していけたらと思っています。
パーク
オイラも!